「停車禁止」を英語で何というか?

「TEM 知恵の輪クラブが答えます。」

Q

停車禁止」を英語で何というか?

―道路標識に弄ばれた駐在員―

ある日本人駐在員が初めての赴任地であるアメリカのシカゴに赴任し、アパートから会社までバスで通うことにしてバス停でバスを待っていた。

すると目の前に道路標識とおぼしきものが立っていて“NO STANDING”と書いてある。「ここに立ってはいけない」としか解釈できない。でもここはバス停である。周りを見回すと数人が標識の前に平気な顔をして立っている。

そこで彼はこう考えた。彼らはアメリカ人である。私は日本から来た新参者の外国人である。この地元の人たちは道路標識を無視している。でも新参者である私はきちんと法律を守るべきである。

そう考えた彼は“NO STANDING”の標識からじわじわと離れ、このぐらい離れればいいかな、という地点まで下がってバスを待った。そしてバスが来ると乗り遅れないように小走りに走ってバスに乗り込んだ。

「外国に来た時にはこのくらい謙虚に行動してちょうどよいのだ」と彼は自分のとった行動に内心満足しながら2週間にわたって、少し離れた場所でバスを待ち、バスが来ると素早く走って乗り込むという行動をとり続けた。

さて、2週間たった時さすがに、それにしても妙なルールもあったもんだ、と感じておもむろに英和辞典を取り出してstandingの項を調べたが残念ながら「地位」「(スポーツの)順位表」「存在、継続」「立っていること」などが載っているだけで、依然として要領を得なかった。

そしてある日、車の免許を取るために運転試験場に行った時、突然その疑問が解けた。受験者のための参考として試験場の壁に貼られた道路標識の中に例の“NO STANDING”“NO PARKING”と並べて貼られていて、道路に停まっている自動車に大きな赤いバツ印が付いていたのである。“NO PARKING”は「駐車禁止」、ならば“NO STANDING”は「停車禁止」だったのだ。

それにしても、バス停から少し離れてバスを待ち、いざバスが来ると慌てて飛び乗るという奇妙な行動をとる身なりの良い日本人を、アメリカ人はどう思って見ていたのだろう。

TEM雑Q4)

トータルEメディア出版刊 

宇井戸 元著ことばは異なもの味なもの

67ページ~68ページより

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