日本の野球英語はどこまでアメリカで通用するか?

「TEM 知恵の輪クラブが答えます。」

Q

日本の野球英語はどこまでアメリカで通用するか?

A

―野球の英語―

明治時代にアメリカから日本に“ベースボール”という球技が紹介された頃には、本場アメリカではルールが既にほぼ確立していたが、ルールが確立するまでには紆余曲折があった。

だからベースボールの用語の中には、その経緯を知らないと、なぜこう言うのだろうと疑問に思うものが随分ある。ストライク、ボールという用語はその代表であろう。ベースボールというゲームは、そもそもピッチャーの投ずるボールをバッターが打ち返すことからすべてが始まる。そのためにはピッチャーはバッターが打てるボールを投げなければならない。打てないところに投げるのはルール違反、つまりアンフェアだということから、このようなボールをunfair ball(不正球)と呼び、後にunfairが略されて単にballと呼ばれるようになった。

ならばストライクは何かと言えば、打てる球を打たなかったバッターに対し、審判が“打て!”(Strike!)と命じたことによるもので、元々はstrikeという動詞の命令形である。

同様に、日本のフォアボール(四球)は英語ではwalkと言い、これも“(一塁に)歩け!”という審判の指示なのである。これは、日本に入ってきた時には4つのボールで一塁に歩けることが確立していたが、古くは必ずしも4球ではなかったことからも語源が分かる。

ついでに「死球」は英語ではhit by pitchと呼ばれ、当てられた打者は一塁に進む権利が与えられる(Hit batsman is awarded first base)。投球が打者に当たった時はball dead,つまり試合が中断(out of play)になるという説明を聞いた日本人が誤って“デッドボール”と呼び、さらに「死球」と書いたため聞いただけでは「四球」なのか「死球」なのか分からないことになってしまった。

2007年のオールスターゲームでイチローの放ったランニングホームランはまだ記憶に新しい。ランニングホームランを英語では“inside-the-park home run”と言う。Inside-parkでもなければinside-a-parkでもない。Inside-the-parkなのである。

なぜ定冠詞が付くのかを考えるだけでも日本人にとっては良い英語の勉強になる。

TEM雑Q6)

トータルEメディア出版刊 

宇井戸元著ことばは異なもの味なもの

56ページ~57ページより

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