「部下管理能力」を身につけるには?

「TEM 知恵の輪クラブが答えます。」

Q

「部下管理能力」を身につけるには?

A

あなたの「部下管理能力」をチェックする

○部下を活かせば職場が活きる

従来の会社組織は、社長、部長、課長、係長、主任、一般社員というようにタテの管理組織がきちんとできており、それによって組織秩序を守ることがなによりも重要とされてきた。要するにピラミッド型組織による「上意下達型組織運営」である。

ところが時代の変化が激しくなると、こうしたピラミッド型組織では外部環境の変化に柔軟に対応できなくなる。たとえば、稟議(りんぎ)書を回すのに一週間や、ひどい場合には一か月もかかってしまい、決裁がでたときにはライバルに先を越されてしまった、ということにもなりかねないのである。

そこで、組織をできるだけフラットにして意思決定のスピードを速め、変化に合わせて柔軟かつ効率的に経営資源を配分するためにチームやグループを編成する「動態的組織づくり」が多くの企業で行われている。

また、ITなどにより情報の共有化がもたらされ、階層による情報所有の格差もなくなってきた。こうしたことから管理職不要論が登場し、事実、部長、課長といった肩書きをもった人がどんどん減ってきて、チームリーダーとか、グループリーダー、プロジェクトマネージャーといったような肩書きをよく見かけるようになった。要するに組織を維持管理するための管理職ではなく、目標達成型のリーダーが求められてきたのである。

ところがここに大きな落とし穴がある。それは、「組織に管理職が不要になったから、管理はどうでもいいのだ。それよりも皆が自由に自分の能力を発揮して目標を達成していく方が大切なのだ」という考え方がはびこってきたことである。また、「年功序列型賃金」や「終身雇用制度」が崩壊し、働く人たちは、かつてのように会社に縛られることが少なくなってきた。しかし、それはあくまでも転職の自由度が増えたということだけである。

したがって職場で働くかぎり、組織の一員として守らなければならない規範や規律があり、組織目標を達成する責任がある。そして組織目標を達成するために、上司・先輩は、部下や後輩を指揮・命令し、また、指導・育成しながら管理しなければならないのである。

組織に管理職はいなくなっても、「管理」することは絶対になくならないのである。もし組織に「管理」がなくなると、その組織はたちまちにして崩壊してしまう。

だからこそ新人以外のすべての働く人に管理能力が求められるのである。そして、管理によって部下・後輩を活かせば、職場が活きてくるのである。

以下の設問に、あなたはいくつ「YES」といえるだろうか。

「部下管理能力のチェックリスト」

①部下・後輩の出身、家族構成、住まいなどプライベートな部分を把握している。

②部下・後輩の長所を十分に理解している。

③部下・後輩の指導ポイントを明確に把握している。

④部下・後輩の欲求をきちんと理解している。

⑤部下・後輩とコミュニケーションを十分にとるようにしている。

⑥部下・後輩に仕事上で「ムリ」なことを頼むことができる。

⑦部下・後輩に対して、必要があればはっきりと注意をすることができる。

⑧すべての部下・後輩と分け隔てなく接することができる。

⑨部下・後輩の悪口を他人に絶対に言わない。

⑩部下・後輩たちと夢を語り合うことができる。

いくつ「YES」があったか。六〇パーセントならば、まずは合格だろう。というのは、ほとんどの人が、部下や後輩に対してまったく無頓着であり、管理するのは課長やリーダーの仕事と考えているからだ。しかし、自分が課長やリーダーになったとたんに部下や後輩を上手に管理できるはずがない。だからこそ、日頃から管理能力を身につけておくことが重要で、その意味で六〇パーセントならばまずは合格としたのである。

さて、①は、部下や後輩のことをどこまで知っているかを聞くものである。「自分のことをここまで知っていてくれているのか」と、部下や後輩が思えば、必ずついてくる。

②から④までは、指揮・命令にあたって、誰に、何を、どのレベルまで任せられるかを知るために必要な項目である。

⑤は相互理解ができるかどうかを聞く項目である。立場や考え方の違いを乗り越えて、一つの目標を達成していくためにはコミュニケーションは欠かせない。

⑥と⑦は、仕事の厳しさをどこまで教えることができるか、その能力を問うものである。

⑨だが、管理には「公平さ」が何よりも大切である、ということをわかっているかどうかを問うものである。

⑨では、管理には「信頼関係」が必要であることをわかっているかどうかをチェックするものである。いくら本人の前でよいことを言っていても他人には悪口や愚痴をもらす人に、人はついてこない。

そして最後の⑩だが、ともに働く仲間として、「夢」を共有することができなければ、部下や後輩は、ただ単に上司や先輩の出世のために管理されていると思うだけである。

人が人を管理することはたいへん難しいことであるが、一人ひとりの人間として部下や後輩を徹底的に見ていけば、部下や後輩は必ずついてくる。

                                                                                                                                                          (TEMビQ2)

トータルEメディア出版刊

橋口寿人著「仕事の上手な進め方 その1

61ページ~65ページより

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